2009/02/11

シャトー・ブラネール・デュクリュのヴァーティカルテイスティング

シャトー・ブラネール・デュクリュ、デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュのヴァーティカルテイスティング

シャトー・ブラネール・デュクリュ、デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュ
主催:日本ソムリエ協会
講師:パトリック・マロトー氏
コメンテーター:田崎真也副会長

日時:2009年2月9日(月)14:00

日本ソムリエ協会関東支部の2009年第1回例会で、「シャトー・ブラネール・デュクリュ、デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュのヴァーティカルテイスティング」というセミナーがあったので行ってきました。

日頃自分の感覚でテイスティングをしているので、田崎真也さんという、ある意味国際標準のテイスティングコメントを勉強するという目的もあります。

まず、シャトー・ブラネール・デュクリュのオーナーである、パトリック・マロトー氏からのシャトーの解説があり、その後ファーストラベルのシャトー・ブラネール・デュクリュ2006、2005、2003、2001、セカンドラベルのデュリュック・ド・ブラネール・デュクリュ2006、2005の垂直試飲を行いました。

■シャトー・ブラネール・デュクリュについて

ボルドー地方:メドック地区:サンジュリアン村のグラン・クリュ4級のワイン。

1680年からブラネール・デュクリュはワイン造りを行っている。
名前の由来はその当時のオーナー「ブラネール」を使っていた。

その後ブドウ畑は3つに分割された。
シャトー・ベイシュベルと、シャトー・デュクリュ・ボーカイユ、そしてシャトー・ブラネール・デュクリュ。

1855年の格付けの際に当時のオーナーだった、ブラネール家のデュクリュさんの名前にちなみ現在のシャトー・ブラネール・デュクリュになる。

またセカンドラベルのデュリュック・ド・ブラネール・デュクリュは、デュクリュの子孫、リュリュックさんの名前をとっている。

1988年からは、パトリック・マロトー氏がオーナーとなる。
マロトー氏は銀行家から砂糖精製会社の社長になったが、ワインへの情熱が高く、ボルドーのシャトーオーナーになった。

ボルドーのグランクリュとなるとなかなか売りに出ないので探すのが難しいが、情熱をもって、2年間でシャトー・ブラネール・デュクリュを手に入れる。

サンジュリアンは全部で1000ヘクタールあり、そのうち、85%が格付けされている。
全体的に品質が高いのが特徴。

メドックの格付けワイン、61のうち11がサンジュリアンである。
1級と5級がなく、2級から4級と品質が均一である事も特徴。

サンジュリアンは、エスティエールと言われる河口に近い。
川辺まで800メートル程度。

ベイシュベルの大地と言われるせり上がった台地にあり。
回りはシャトー・グリュオー・ラローズ、レシャトー・レオヴィル・バルトン、シャトー・サン・ピエールなど。
高品質なワインを作るシャトーに囲まれているので、常に向上心をもってワイン造りに取り組んでいる。
畑の面積は50ヘクタールあり、25000ケース作っている。

スタッフは25名、収穫期は100名で作業を行っている。

オーナーになった1988年当時はフランス国内のみでの販売だったが、20年たった現在、80%を輸出している。
現在は、フランス国内より日本の方が探しやすい。

樹齢は平均35年。
セカンドは15年以下の若い木から取れたワインを使用している。
土壌はグラーヴと言われる、砂利と砂。
そこに適したカベルネ・ソーヴィニヨンを主に栽培している。

アッサンブラージュは、70%がカベルネ・ソーヴィニヨン、22%がメルロー、のこりがカベルネ・フランとプティ・ヴェルド。
カベルネ・ソーヴィニヨンの個性を引き出し、伸ばす事を常に考えている。

シャトー・ブラネール・デュクリュは、エレガントで飲み心地の良いワインを目指している。
ワインは喜びのためにある。
カベルネ・ソーヴィニヨンから得られる果実味をたくさん引き出し、新鮮さと力強さをもったワインを作る。
力強さがないと、時間をかけて熟成できない。

新樽の比率は60%。
残りの40%は一度使った樽を使用。
3回以上の樽は使わない。
樽内部の焼きは弱めに行う。
樽熟成は16~20ヶ月。
ビンテージによってブドウの熟成が違うので、期間を変更する。
セカンドのデュリュックは12~14ヶ月。新樽は使っていない。

新樽は使いすぎないようにしている、かもし発酵も短い期間で行い、果実実を大切にする。
ボルドーでは通常、30日~35日のかもし発酵期間をとり、長い場合は40日もある。
ブラネール・デュクリュでは22日~23日程度、それ以上はやらない。
果実の新鮮さを保ちたいため。
力強さを引き出すにはかもし発酵ではなく、ブドウの完熟で達成する。
ブドウがしっかり熟成していれば、すばやくタンニンを引き出す事ができる。

20年前から収穫量を減らしてきた。
当時は1ヘクタールあたり、70~75ヘクトリットルくらい。
当時はブドウの選別もセカンドラベルも無く、1988年にセカンドラベルを作った。

醸造に関してはグラヴィティフローを採用している。
ポンプは使わない。
大きさの違うタンクを数種類用意してあり、ブドウの熟成度に応じて細密化している。
以前はブドウが密集していて房同士が接触し腐敗果があったが、現在はそんなことは無くなった。

今はグリーンハーベストやピンクハーベストでブドウを選定する
杉やピーマンがボルドーの特徴と言われていたがそんなことは無くなっている。

さらに熟成をまって、10日遅れで収穫出来るようになっている。

■Duluc de Branaire-Ducru 2006
デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュ 2006

2006はノーマルな年。
1ヘクタールあたり45ヘクトリットルの収穫量。
熟成感があり力強く、2006年はここ25年のうち第4位のヴィンテージと思っている。

2006はセカンド30%、ファースト70%
デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュはメルローが多めのアッサンブラージュ。

深みのある色調。

開栓後1時間くらいで特にデキャンタージュしていないため、香りはまだ閉じた印象
果実味が豊富で、新樽を使っていないので、木樽の印象が果実香を優しく取り込んでいる。

赤系の果実と野ばら。
カベルネ・ソーヴィニヨンによくある、ヴェジェタルな印象は無い。
黒いスパイス、カンゾウのような香り。
メルローらしい土の印象があるが、やや還元的な印象でもある。

基本は果実、花、甘ニガ系。
しっかりしたタンニンでイメージ通りのスタイルに仕上がっている。

わずかに収斂性があり、緻密なタンニン。

ボルドーのシャトーでは、よく「フレッシュール」という言葉を使うが、濃縮感ある果実味の強いワインに対して、ボルドーの特徴である中盤以降の酸の特徴を現している。
サンジュリアンの特徴はアフターの果実味酸の爽やかさ。
2006というとても若いビンテージでも空気接触をすればもう飲める。
コストパフォーマンスはとても高い。

■Chateau Branaire-Ducru 2006
シャトー・ブラネール・デュクリュ 2006

カベルネ・ソーヴィニヨン67%、メルロー27%、カベルネ・フラン2%、プティ・ヴェルド4%

深みのある色調。
粘性が豊か。
アルコール度、13.25%
若々しさがある。

香りは複雑ながらまだ閉じている。
カベルネの特徴が前面に出ている。
ブラックチェリーのコンポート。
バラや、すみれの花の印象。
木樽のヴァニラ ボワゼ。
コーヒー。
カンゾウ。
エビスドゥープ??
カベルネの印象をメルローが押し上げているような印象がある。

深みとコクとエレガントの3つのバランスが良い。
収斂性を少し感じる。
余韻は8~9秒くらい続く
アフターに果実、甘ニガ、スパイス余韻長い 酸も感じる。

■2005年ヴィンテージについて

2005年は人生に1度と言ってよいくらいのグレートヴィンテージ。

すべての条件が良かった。
力強さとエレガントさがありそして複雑、リッチ。

夏場に乾燥したためカベルネ・フランは入れていない。
カベルネ・フランは乾燥に弱く、良い出来にならなかった。

カベルネ・ソーヴィニヨン66%、メルロー30%、プティ・ヴェルド4%
カベルネ・フランはデュリュックに入っている。

収穫量は45ヘクトリットル/1ヘクタール
アルコール度は13.3%

2005が偉大なビンテージということで、90年や96年と比べたがる人がいるが、当時と収穫量が違い単純にヴィンテージでは比べられない。

当時は1ヘクタールあたり、70~75ヘクトリットルが普通だった。
さらに現在のめるワインの熟成度も違うので、正確に比較するためにはタイムマシンが必要。

■Duluc de Branaire-Ducru 2005
デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュ 2005

深みのある色調。
粘性は豊か。
香りは複雑。
果実は黒系でかすかに赤系を感じる。
花。
スパイス。
土。
タンニンはシルクのような口当たりでバランスが良い。
広がったあとのアフタフレーヴァーが長い。
フレッシュでアフターにスパイスや土、コンフィ。
なめらかでバランスが良い。
最初に空気接触で開かせる事も出来るが、1時間の食事でだんだん開いていくのを楽しむ事もできる。

■Chateau Branaire-Ducru 2005
シャトー・ブラネール・デュクリュ 2005

深みのある外観。
芳醇だがまだ閉じている。
果実。
木。
スパイス。
土。
濃縮感のある果実や、ドライフラワー。
腐葉土。
木の樹脂。

味わいはまろやかで、緻密なタンニン。
酸味がエレガントで中盤から広がる。
ストラクチャーを保ったままパワフルではなく、自然に広がる印象。

同時に華やかな酸の印象があり、余韻は10秒以上続く。

上品なラムロースト、きのこのトッピングなどが合わせやすい。

ここ20年来で2005ヴィンテージは1位。

■2003ヴィンテージについて

2003年は典型的では無い年になった。

夏がとても暑かった。
6月末から8月中旬で、42度を超えた日もあった。
これは、ボルドーではありえない温度。

サンジュリアンは砂利と砂が7~8メートル、深いところでは12~15メートルくらいある。
さらに河のそばなので地中の水を吸いやすい。
その地形のおかげでブドウは無事に育った。

猛暑のあとにわずかな雨があり、ブドウたちは生き返った。

暑いとアルコール度が上がるわけではない。
13・04%で2005、2006より低くなっている。

これは、温度が高すぎると生育障害がでて糖度が上がらないため。

暑いと酸味も欠けるのかと思われやすいがそれも違う。
2003は3%、2005は2.88%

2003年ヴィンテージは土壌によって出来が変わる年。

収穫量は29ヘクトリットル/1ヘクタールしかなかった。

とても少ない収穫量だが、粒が小さく、さらに皮が厚かったので、果汁が少なかったため。

そのため、濃縮度はとても高い。

新鮮さがあり濃縮度が高いと、かもし発酵が短くても大丈夫、これはテロワールのおかげである。

若いうちから飲めるが、長期熟成も出来るポテンシャルもある
15年~20年たつと熟成による複雑性が出てきてさらに新鮮さを維持できる年。

■Chateau Branaire-Ducru 2003
シャトー・ブラネール・デュクリュ 2003

少しオレンジがかっている。
粘性は豊か。
深みのあるガーネット色。
果実香。
黒い果実、ブラックベリー、ブラックチェリー、コンポートやコンフィ。
木ロースト香。
成熟したタンニン、カンゾウやナツメグ。
甘みとスパイスが完璧に調和している。

タンニンの成熟度は、05でも06でも無い印象。
普通のヴィンテージじゃない、クラシックな印象とも違う。
ふくよかな料理 牛ほほ肉の煮込みなどが合わせやすい。

■2001ビンテージについて

偉大な2000年の影にかくれているが、実はメドック的なヴィンテージ。

カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高い 75%。
少し熟成度に欠ける、成熟度が低い。
2001は2009年時点で、ようやく開き始めた。
早飲みタイプではない、数年寝かせてから飲むタイプ。
タンニンの力強さがやや弱い 70/100に欠けるくらい。

2003ヴィンテージ
CS72%、ML20%、CF3.5%、PV4.5%、Alc13.04%、酸3.00g

2001ヴィンテージ
CS75%、ML19%、CF2%、PV4%、Alc12.98%、酸3.23g

2003と2001はアッサンブラージュがほぼ変わらない。

■Chateau Branaire-Ducru 2001
シャトー・ブラネール・デュクリュ 2001

オレンジが多め。
閉じている。
熟成香がある。
スーボワ。
枯葉、きのこ、腐葉土。
果実味がおだやか。
やさしく、クラシックなメドックの印象。
メントール系の香りがほんのりある。

合わせる料理として、ブリのローストにスパイスときのこのエッセンスを加えたものを準備した。
それにピストーなど、ハーブ系のメントールを香りがつくと良い。
地鶏なんかも良いだろう。

まろやかで果実味が多い。

■その他ビンテージについて

2007ヴィンテージは、2004に似ている。
2002よりは上であり、2004よりは下である。

2008はすぐれている。
2006のような出来。
ピュアで熟成した果実味がある。

ここ20年での出来の良いヴィンテージは

1位:2005
2位:2000 
3位:2003

2005は2000よりもエレガントである。

1995、1996は今がおいしい。

古いものでは、1928、1934、1945、1949は今でも素晴らしい。
1934などは61年や70年と間違えるくらい若々しい。

■セミナーを終えて

素晴らしいセミナーでした。
オーナーの、パトリック・マロトー氏は大変情熱的な人で、田崎さんのコメントも素晴らしいものでした。
もちろん通訳の方も。

メドックの伝統的なカベルネ・ソーヴィニヨン主体のシャトーで、フレッシュで果実味のあるワイン造りを心がけているというのはちょっと意外でしたが、実際に飲んでみてメルローの果実味とはまた違った、力強い果実味のスタイルを感じました。

さらに田崎さんのコメントと私の感じたコメントの大きな違いは「動物香」。

私は何でも「なめし革」とか使ってしまうのですが、今回のテイスティングコメントに動物由来のタームは出てきませんでしたね。

黒系スパイスや腐葉土がいわゆる私の感じている動物香の部分じゃないかと思って、今後動物香のタームを使うときにちょっと気をつけないとな~と思ってしまいました。

■こぼれ話

そうそう!
廊下でたまたま田崎真也副会長とすれ違い、会釈して通りすぎようとしたら「こんにちは」と声をかけてくれました!
あわてて、「こんにちは」と返しましたが。とっても嬉しかったですね。
ますますファンになりました。

■楽天ショップへのリンク

シャトー・ブラネール・デュクリュ 2001 5,544 円


シャトー・ブラネール・デュクリュ 2003 17,850 円


シャトー・ブラネール・デュクリュ 2005 12,075 円


シャトー・ブラネール・デュクリュ 2006 8,274円


デュリュック・ド・ブラネール・デュクリュ 2004 4,720 円

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