2014/08/17

誰でもできる手づくりワイン―仕込み2時間2か月で飲みごろ


誰でもできる手づくりワイン―仕込み2時間2か月で飲みごろ

永田 十蔵 (著)

単行本: 111ページ
出版社: 農山漁村文化協会 (2006/01)
発売日: 2006/01
商品パッケージの寸法: 20.8 x 14.8 x 1.4 cm

この本、まず最初に気になるのが酒税法。

すでに、この本のタイトルでアウトじゃないかと思いきや、アルコール度1%未満であればセーフみたいです。
ただ、この本には酒税法に関する項目はありません。
何となくきな臭い雰囲気の漂う本ですね。

気になるトピックスをまとめてみました

■カラー写真でワインの作り方がシンプルにまとめてある

ソムリエ協会の教本などにも掲載されているワイン造りのステップですが、手づくりだとさらに具体的で分かりやすいですね。
これからソムリエ協会の呼称資格試験を受験する人にも、とても参考になると思います。

■はしがきの内容

ワインつくりは単純で、ブドウをつぶして醗酵させ、果汁を搾って静置するだけで、2~3ヶ月で美味しいワインが完成する。
難しい知識は不要で人は少しの手助けをするだけで、自然の摂理でワインは出来る。
一般に流通しているワインは、添加物が入っているので、うまくない。
手作りワインと比べるとその差は歴然としている。
ワインつくりの極意は「何も足さない、何も引かない、余計なことはしない。」人が余計なことをしなければブドウの持つポテンシャルは最大に引き出されて最高のワインができる。

という内容ですが、流通や保存のことを考えなくて良い自家製のワインは、ナチュラルでワインの原点といえる味がするんでしょうね。

■白ワインでも果醪発酵

破砕した果皮・果肉をまるごと漬け込んで醗酵させるのは「果醪(かろう)醗酵」、果汁だけを醗酵させるのが「果汁醗酵」。
白ワインは通常、省スペースで醗酵タンクの効率が良いという経済的な理由で果汁醗酵をするが、白ブドウの果皮や果肉にも無色のポリフェノールや旨味成分が含まれているので、手作りワインは白ワインも果醪醗酵を勧める。
今後白ワインも果醪発酵する作り手が出てくるかもしれない、と指摘しています。

■一次発酵と二次発酵

一次発酵は開放した条件で、ある程度アルコールを生成して色素やタンニンなどの成分を溶出させるのが目的。長く続けると、雑菌が発生して醪の状態が悪くなり腐敗臭がつく、しかし短いと色素などが十分に出きらない。切り上げのタイミングは作り手のセンスによる。
二次発酵は酸化を防ぐために、エアーロック付きの密閉容器で酸素を遮断した状態で、糖が完全なアルコールに変わるまで行う。

■清澄・おり引き

ワインの見栄えを良くするために、工場での「清澄・おり引き」は、遠心分離器、珪藻土を使って濁り成分を濾過、ワインマスト酸化防止のために亜硫酸塩を添加、遠心分離器ではとれなかった微細な混濁物質をタンニン、ゼラチン、活性炭、ペクチダーぜなどを使っており引き、褐変防止にナイロン66などを添加することもある、そして最後の仕上げとして精密濾過機や火入れによって除菌、殺菌を行ったあとにボトリングをする。
手づくりワインはそのような真似をする必要はない、醗酵が終了しマストがクリアになったらおり引きをかねて新しい瓶に移す。

■ワインの熟成について

熟成したワインは、大量流通させる側のレトリックで、亜硫酸塩がほどほどに低減し飲みやすくなったことをありがたがるのではないか。ボトリング直後に亜硫酸塩を入れたものは飲めたシロモノではない。
手作りワインは熟成させるものではない、出来たてが最高の状態である。

■白ワインの醗酵について

白ワインで果醪発酵をする場合は、一次発酵は早めに切り上げる。
白ワインのマストは酸化されやすく、酸化防止剤を入れない限り褐変は避けられない。
手作りワインでは糖分を残すことが難しいので、スウィートタイプが飲みたい場合は、飲む直前に補糖する。使用する糖は砂糖よりも果糖(フルクトース)が良い。

■まとめ

ワインというのは基本的にシンプルなお酒なんだ、ということを気づかせてくれる本です。
何かとウンチクの多い飲み物ですが、ワインメーカーのマーケティングに消費者が踊らされている可能性も指摘しています。
どのような食材もそうですが、出来たてを現地で味わうのが最高の贅沢なんでしょうね。
いわゆるワインのウンチク本とはまったく違う角度からワインの造り方を理解出来ますので、ワイン資格試験を受ける人にはおすすめします。
ただし、本当にワインを造ってみるかどうかは、個人の判断にお任せします。
アルコール度1%未満であれば酒税法にはひっかからないみたいですので。



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