
ソムリエ座談会 デギュスタシオン編
日時:平成23年2月23日(水)15:30~17:30
場所:グランドプリンスホテル高輪
久しぶりに、ソムリエ協会のセミナーに行ってきました。
ソムリエ協会機関誌で連載している「ソムリエ座談会」の公開セミナーです。
日本を代表する4人が一度に集まってのセミナーで、しかもテーマが「ワインテイスティング」。
しっかり勉強しようと、意気込んで行ってきました。
■豪華な講師陣!
阿部 誠 氏
2002年 第3回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
石田 博 氏
1996年 第1回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
1998年 第2回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
2000年 第10回世界最優秀ソムリエコンクール第3位
佐藤 陽一 氏
2005年 第4回全日本最優秀ソムリエコンクール優勝
中本 聡文 氏
1996年 SOPEXA主催第9回全国ソムリエ最高技術賞コンクール優勝
この4名が公開ブラインドテイスティングするんだから、スゴイ企画です。
■個性豊かな、日本を代表するトップソムリエ
仕切りタイプの石田ソムリエ。
マイペースでちょっとボケキャラ?が出る阿部ソムリエ。
数日前に退院したばっかりだそうです。大丈夫?
ダンディで、知識豊富な佐藤ソムリエ。
ちょっとオカマぽっくて、場を和ませようとする中本ソムリエ。
機関誌の紙面だけでは分からない、各ソムリエのキャラクターが身近に感じられて、とっても楽しい対談でした。
■公開のブラインドテイスティングで、講師も真剣!?
白2つ、赤2つの、計4つのワインのブラインドテイスティング。
各ワイン持ち回りで、一人のソムリエが答えを知っていて、テイスティングの進行を仕切る、というシステムで進みました。
外観の印象、香りの印象、味わいの印象をそれぞれのソムリエに聞いて、最後にワインを特定してもらう、という流れです。
各ソムリエ、人の話もそっちのけで、真剣にブラインドテイスティングしてました。
■公開ブラインドテイスティングの目的
一つのワインを多くの人で飲み、意見を交換する場が重要、という事で今回のブラインドテイスティングを企画されたそうです。
何が正しい、ではなく、どう解釈して、人とどう意見が違うのか、を理解することが大切とのこと。
同じワインを味わって、トップソムリエがどう表現するかを聞く機会って、なかなか無いですからね。
■ソムリエの使う用語
ソムリエの使っている用語って、感性で表現されてるわけではありません。
ソムリエとしての訓練をしてきたものが、ワインの特徴を共有するためのものです。
味わいや香りを、正確に人に伝えるためにあるものなんですね。
なので、一般の人が使うコメントとは違って当たり前で、プロじゃない人は、自分の感じたものを素直に表現すればいいと言ってました。
「スーボワ」を例に出してましたが、時にトップソムリエは、生産者と話しあって、そのワインに「スーボワ」を使っていいのか、他の表現の方がいいのか、検討をするそうです。
でも「スーボワ」という表現は絶対的な基準があるわけでは無いので、一般の人が「スーボワ」と感じたらそれを素直に表現すればいい、というのが佐藤ソムリエの意見でした。
もし、ソムリエと同じ言葉を使いたいのであれば、やはり専門の訓練を行う事が必要だそうです。
トップソムリエでも、海外のソムリエのコメントを読んでボキャブラリーを増やす事や、最近の流行など、常に勉強を怠らないようです。
■意地悪な選択のワインに、トップソムリエも苦戦?
主要品種が出るのかと思いきや、意外な変化球で、ソムリエも苦戦してました。
<白ワイン1>
※各ソムリエのコメントをまとめてみました
透明感がある、艶やか、グリーンっぽい、粘性は中程度、健全な外観、グレーのトーン。
(のっぺりした)ミネラル、青りんご、柑橘、熟した、オレンジ、シロップ、フレッシュ、アロマは強くない、セルフィーユ。
グレーの印象、香り控え目、水分量が多い、なめらか、グリセロールの甘み、あと味に塩味、ドライながら控え目、アルコール強くない、堤防で口を開けて、潮風を受けた感じ。
ニュートラルな印象で、この手のワインが一番困る、ってタイプ。
各ソムリエ、可能性のあるタイプをいくつか上げていき、最終的に答えたのは以下の通り。
阿部氏:ミュスカデ シュールリー 2009
佐藤氏:ミュスカデ シュールリー 2009
中本氏:ソアヴェ
正解:ブルゴーニュ・アリゴテ ルイ・ジャド 2008
これは私もミュスカデかと思ってました。
アリゴテ、って答えが出たときは、会場で、おおって声が上がってましたので、ほとんどの人はアリゴテとは思って無かったのでは。
佐藤ソムリエは、最初の選択肢でアリゴテが出てましたが、まさかアリゴテが出てくるとは思ってなかったのでしょうね。
<白ワイン2>
色の黄色味が強い、濃い、輝きは十分、澄んでいる、健全
くぐもった香り、濃縮感がある、熟成度が高い、濃密だが広がらず、控え目、ゴールデンデリシャス、ピーチ
甘さのある、リンゴの蜜、アロマティック品種ではない、豊かさのある香り、ブドウの熟成度が高いけど上品、花の印象、黄色い花、黄色い果実、太陽、カリン、黄色のリンゴ、ヨーグルト、バニラビスケット、モダンな醸造方法、若めのワイン、ココナッツ、カサブランカ。
良い造り、スキがない、ボリューム強め 整っている、テクニカルな印象が強い、風土やブドウ品種の特性が出てない、アルコール度は14%くらい。
全員:シャルドネのニューワールド、中本氏は日本もあり。
答え:シャルドネ カリフォルニア ソノマ 2008
<赤ワイン1>
輝きあり、やや淡いルビー、透明感中程度、紫が残っている粘性は薄め、自然なにごり。
ゼラニウム、バラ、すみれ、青い香り、赤い果実。
土ぽい、埃っぽい、潰したブラックベリー、ブラッディ(血の印象)、酸化熟成が進んだ感じ、お茶のような渋味、スパイシー、華奢、後半アルコールの膨らみあり、有機・ビオのニュアンス、還元香がほとんどない、SO2亜硫酸の印象もない。
石田氏:カベルネ・フラン、ソーミュール2006~2007
阿部氏:カベルネ・フラン
中本氏:カベルネ・フラン、シノン2007~2008
正解:シノン 2007
これはさすがでしたね。
このワイン自然農法で造られているワインだそうですが、中本氏が最初に指摘した、自然なにごり、が重要なポイントなんですね。
昔は「にごり」はマイナスポイントでしたが、最近のワインは、有機栽培などの影響もあって、マイナス要素ではないようですね。
逆に「不自然な透明感」って言葉も出てました。
<赤ワイン2>
濃いルビー、黒み、コントロールされた醸造の印象、艶がありしっかりしている、色素量は少ない、透明感がある。
ブドウの個性が無い、花、スパイス、個性的でカベルネやメルローではない、ブルーベリー、ブラックベリー
黒っぽいイメージ、単一品種、酸化のニュアンスがなく還元的、黒胡椒ではないスパイシー、オリエンタルスパイス、黒い果実、クラシカルな昔ながらの醸造法、ぼたんの花、樽、開いてはないが閉じてる感じでもない、品種の個性を活かした丁寧なつくり、フェルメ、色素量の多い黒い果実のイメージ。
甘い果実、充実した果実ではっきりしている、渋味に収斂性がある、酸も広がる、舌を中心に渋味が残る、アルコールは強くない、甘み、口の中を拭き取られたような渋味、コナコナしてるドライ、アルコールが強すぎずまとまっている、アルコールのボリューム感が中心、残糖ではないトータルなバランス(酸、アルコール、グリセロール)の甘み。
途中でヒントとして、マセラシオン・カルボニックと通常の醸造をアッサンブラージュしている、手摘みと機械摘みをまぜているという解説あり。
石田氏:ローヌのシラー、あるいはグルナッシュ?
阿部氏:マルベック?
佐藤氏:カオール?
正解:リオハ テンプラニーリョ50%、ガルナッチャ50%。
ワイン自体に品種の個性を感じるタイプでもなく、伝統的なスペインの印象でもなく、なんでこのワインを選んだの?って空気が満ち満ちてましたね。
■二度と無い!? 貴重なセミナーでした
最後のテイスティングが終わった後に、もうブラインドテイスティングでのセミナーはやりません、って石田氏が宣言!
確かに、ブラインドテイスティングは、各ソムリエの持っている素晴らしい情報を伝える、という部分ではあまり効果的ではなかったかも?
ブドウの品種や醸造方法を知った上での、佐藤氏のコメントは素晴らしいものでした。
「にごり」一つとっても、ワインの素性を知っている上での解説と、ブラインドテイスティングで「にごり」を推理する、という点では、コメントが全然違ってきます。
とはいえ、トップソムリエがブラインドテイスティングで苦戦する姿は、とても貴重な体験でした。
阿部ソムリエの「最初の印象が大体正しくて、考え込むと深みにハマって外しちゃうんだよねー。」って一言には、「そうそう!」なんて、とても親近感を感じてしまいました。
今回のセミナーで、自分のテイスティングコメントのズレが分かったのも大きな収穫でしたね。
花の香りの一部を、果実の香り、と捉えていたり、ブラッディとケミカルを混同してたり、いまだに還元香が自分の中ではいまだにモヤモヤしていまが・・・
それにしても、セミナーでのソムリエのコメントに、動物系の要素がほとんど出てこないんですよね。
私は頻繁に使ってしまうのですが、ここの差も気になるポイントです。
またこのような機会があったら、是非参加したいと思います。
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