2011/11/05

ソムリエ協会 関東支部 第7回分科会「ちょっと贅沢な晩秋のイタリアワイン」 講師:荒井基之氏

ソムリエ協会 関東支部 第7回分科会「ちょっと贅沢な晩秋のイタリアワイン」

日時:2011年10月30日(日)14:30~
場所:日本ソムリエ協会ビル 3階会議室
講師:荒井基之氏
(社)日本ソムリエ協会 副会長/マスターソムリエ/ヴィーニ・ディ・アライ オーナー
定 員:先着50名
対 象:当協会認定のワインアドバイザー・ワインエキスパート(シニア資格も含む)
会 費:会員・賛助会員 5,000円  同伴者・一般 7,000円

久しぶりにソムリエ協会主催のイベントに参加してきました。
ワインアドバイザー・ワインエキスパートのフォローアップセミナーですが、笑顔の絶えない、楽しいセミナーでした。

■イタリアワインの最新情報

EUのワイン法が規定されて、イタリアでは、DOP、IGP、地理的表示無しの3つに分類されましたが、その表示方法はちょっと複雑。
3パターン許されてて、(1)DOPのみ表示、(2)DOPに旧分類(DOCG、DOC)を併記、(3)旧表記(DOCG、DOC)だけ表示、が許されている。

DOCGとDOCがまとめて、DOP。

イタリアのブドウ品種は438種類。

生産量は、以前は南イタリアが多かったが、今はヴェネトが多い。

品種ではサンジョヴェーゼが多い。白だとトレッビアーノ。

イタリアのDOP名の付け方は今までは3パターン。
(1)地区名・村名 例:バローロ、アスティなど
(2)ブドウ品種名+地区名・村名 例:バルベーラ・ダルバ
(3)伝説や言い伝え 例:ラクリマクリスティ、エスト・エスト・エスト

最近承認された、DOCGプロセッコは品種名のみなので、4つめのパターンになる。

■ブラインドテイスティング

白2本と赤3本で、DOCGの一覧表が配られて、最初は現在のイタリアワインの基本講習。
やや硬めな内容でセミナーは進みます。

ワインが注がれ、何もヒントがなく、ブラインドテイスティング開始。
普段、良いイタリアワインを飲んでない私は、まったく分かりません。

1つめの白は泡モノ。
イタリアの泡といえばアスティ・スプマンテくらいしか思い浮かばない私・・・
ただ、シャンパーニュのような瓶内発酵のイーストのような印象がある、しっかりしたスパークリングです。

2つめはバターリィな白。
かなり樽を使ってる、厚みのある、ボリューム感のある白。
普通だとシャルドネって言いそうなタイプです。

3つめはスミレの香りのある華やかな赤。
ほんのり甘い感じがポイント?

4つめは熟成感のある落ち着いた赤。
これはピンと来たのですが、鳥小屋のような印象があって、以前飲んだブルネッロ・ディ・モンタルチーノの感じ。
まったくヤマカンですけど。

5つめは明るさのあるタイプ。
甘い印象の香り。
ただ、最初の4本でいっぱいいっぱいで、5本目は時間もなく、ちょっと適当になってしまいます。

コンクールとかだと、1本を3分くらいで判定するそうですね。

産地と品種のヒントが出たので、とりあえず割り振ってみました。

(1)トレッビアーノ:アブルッツォ州
(2)シャルドネ:ロンバルディア州
(3)コルヴィーナ:ヴェネト州
(4)サンジョヴェーゼ:トスカーナ州
(5)バルベーラ:ピエモンテ州

で、正解は1つだけ・・・見事に4つ外しました・・・

(1)フランチャコルタ・ブリュット・ミッレジマート 2005
Franciacorta DOCG Brut Millesimato 2005



格付け:DOCG
生産地:ロンバルディア州
品種:シャルドネ55%、ピノ・ビアンコ15%、ピノ・ネーロ30%
アルコール度:12.5%
参考価格:6,800円

<醸造方法>
サーモスタット・ステンレスタンクで第一次発酵後、8ヶ月間熟成。瓶詰め後の瓶内発酵法式により第二次発酵。シュールリー期間はデゴルジュマンまで最低35ヶ月。ドサージュは1本あたり7.5ml。

<テイスティングコメント>
トースト、イースト香、酵母菌、焼きリンゴ、熟れたパイナップル。
心地よい口当たり、なめらができめ細かい。

(2)トレッビアーノ・ダブルッツォ マリナ・ツヴェティッチ D.O.C. 2008
Trebbiano d'Abruzzo Marina Cvetic D.O.C. 2008



格付け:DOC
生産地:アブルッツォ州
品種:トレッビアーノ・ダブルッツォ100%
アルコール度:14.5%
参考価格:6300円

<醸造方法>
年産20,000本、1991年初リリース、キエティ県シルヴェストロ(2.5ha)とリパテアティーナ(2.5ha)の畑から。それぞれ標高390m、290mの東向き。50年樹。1600本/ha植樹。10月中旬~後半に収穫。18~20℃にて2~4週間樽醗酵し、マロラクティック醗酵を終了させる。100%新バリックで22ヶ月熟成。

<テイスティングコメント>
ヴァニラ、トースト、バター、チーズ、パイナップル、コンポート、クリのような香り、10年持つ品質。

(3)“ビオンゾ” バルベーラ・ダスティ・スーペリオーレ 2006
"Bionzo" Barbera d'Asti Superiore D.O.C. 2006



格付け:DOC
生産地:ピエモンテ州カスティリオーレ・アスティ
品種:バルベーラ100%
アルコール度:14.5%
参考価格:8775円

<醸造方法>
アルコール発酵後、フレンチオークの樽でマロラクティック醗酵。
ミディアムトーストのフレンチオークの新樽で16~18ヶ月熟成。その後、ステンレスタンクで6ヶ月、瓶内で3ヶ月熟成させる。フィルターにかけず、清澄剤も使用しない。
年間生産量:35,000本(参考)
サービス温度:16-18℃
樹齢:45~55年

<テイスティングコメント>
ドルチェットが近い。酸が柔らかい。
濃いルビー、紫がかっている、トースト、ダークチェリー、甘草、若々しいタンニン、野うさぎの煮込み、キジ。

(4)“ポッジョ・アッレ・ムーラ” ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2004
"Poggio alle Mura" Brunello di Montalcino D.O.C.G. 2004



格付け:DOCG
生産地:トスカーナ州モンタルチーノ地区
品種:サンジョヴェーゼ(クローン選抜)
アルコール度:14.5%
参考価格:11025円

<醸造方法>
ブドウ収穫後、12~13日間マセラシオンを行い、温度管理のもとステンレスタンクでアルコール発酵。
90%をバリックで、10%をスラヴォニアオークの大樽で約2年間熟成させる。トータルで4年間の熟成。

<テイスティングコメント>
熟成が長いのでオレンジ色が入っている、ラズベリージャム、煮詰めたフルーツ、イノシシ、炭焼きの肉。

(5)コスタセラ・アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ 2006
Costasera Amarone della Valpolicella Classico 2006



格付け:DOC
生産地:ヴェネト州 マラーノ、ネグラール、サンタンブロージェ、サンピエトロ・イン・カリアーノの丘の斜面にある自社畑(西、南西向き)
品種:コルヴィーナ70%、ロンディネッラ5%、モリナーラ5%(9月下旬~10月初旬収穫)
アルコール度:15%
参考価格:7200円

<醸造方法>
アパッシメント。風通しの良い部屋で手摘みのぶどうを専用竹製ラックで1月下旬まで陰干し。ぶどうの重量が35%減り、香りと糖度が増す(貴腐菌が付くのはコルヴィーナのみ)。ソフトプレスし、一部除梗、45日間スラヴォニアオークの大樽もしくはステンレスタンクで自然低温発酵(14℃)、30~40hlの樽に移し、アルコールに強い酵母を用いて引き続き35日間アルコール醗酵(18℃)、その後マロラクティック発酵。スラヴォニアンオークの大樽(40~80hl)と20%アリエとスラヴォニアオークの小樽(600L、40%新樽、30%2年樽、30%3年樽)で24ヶ月間熟成。その後、濾過し瓶詰め。最低4ヶ月間瓶内熟成。
サービス温度:18~20℃
料理:赤身の肉料理、ジビエ、パルミジャーノなどの強めのチーズ、食後酒として
参考価格:7200円

<テイスティングコメント>
ムラサキ、濃いルビー、干しぶどう、スパイス、ブラックペッパー、カヴァロ(馬肉)やゴルゴンゾーラ。

■荒井基之氏について

荒井氏はイタリアが専門で、ソムリエ協会の副会長になった事で、ワイン検定の問題構成にも変化があった、などと言われてるそうです。(あくまで噂)

ワイン色のジャケットに身を包んで、パッと見はとてもダンディな紳士ですが、ダジャレと、場を盛り上げるパワーがすごくて、最後はドタバタ喜劇の舞台みたいになってました。

とっても楽しくて、機会とお金があったら「ヴィーニ・ディ・アライ」にも行ってみたいですね~。

デキャンタージュでワインに付加価値をあたえて、「ぼったくる」と言ってましたが、荒井氏のデキャンタージュはとても素晴らしくて、ボトルから注いだワインよりもずーーっと美味しくなってました。
ものすごくマイルドで優しい感じになるんですよね。

デキャンタージュのパフォーマンスも見事で、いやいや、良い物を見せていただきました。

■イタリアワインについて

高いイタリアワインは美味しいですね。
フランスと違うのは、あくまで人に優しいイメージがあります。

人当たりがいい、いたれりつくせり、サービス精神が旺盛な感じ。
イタリアは高くてもフレンドリーなんですね。

イタリアワインを1年間集中して飲んだ事があったのですが、なかなか当たりに会えず、カミさんに「もうイタリアは買ってこないで。」とさえ言われて事がありました。
イタリアワインを知り尽くしてる、専門のお店でチョイスしてもらうといいかもしれませんね。

■まとめ

それにしても、ソムリエ協会のイベントは楽しいです。
一定レベルの知識を持っている人が来るので、話も合いやすいし、基本お酒が入るので後半はみなさん和気あいあい。

勉強にもなるし、また参加させていただきます。

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