2009/04/18

映画「サイドウェイ」におけるシャトー・シュヴァル・ブラン1961


映画「サイドウェイ」

2004年アメリカ製作 (日本初公開 2005年)

監督:アレクサンダー・ペイン

原作:レックス・ピケット著「サイドウェイ」

2004年アカデミー賞 脚色賞
第62回ゴールデングローブ賞 作品賞

出演
ポール・ジアマッティ
トーマス・ヘイデン・チャーチ
ヴァージニア・マドセン
サンドラ・オー

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小説家志望の中年の国語教師マイルスと親友ジャックは、旅先のレストランで美人のマヤと出会う。調子のいいジャックは婚約者がいるのにナンパした女性とうまくやっているが、結婚に破れ、小説家の夢もどうなるかわからない、何もかもうまくいかないマイルスは、マヤにひかれつつも一歩が踏み出せずにいた。
『アバウト・シュミット』のアレクサンダー・ペイン監督が、平凡な男が人生を見つめなおす姿をユーモアと人情あふれる演出と脚本でつづる。夢や希望に満ちあふれた若さはもうない。失敗もたくさんした、現実も知った、この先いいことあるだろうか…そんな風に消極的な主人公の曇り空の毎日は、誰にでも経験あることだろう。だからこそ、その人生に希望の光がさすとき、自分のことのように晴れやかな気持ちに。ワインおたくの主人公らしく、ワインのうんちく話はこの映画のアクセントだが、年代物のワインほど絶妙な味わいであるのと同じように、人生も年月が豊かにしてくれると語っているよう。マイルス役ポール・ジアマッティのダメ男っぷりは哀愁漂い、ジャック役トーマス・ヘイデン・チャーチの能天気ぶりは愉快痛快、ふたりの魅力もこの傑作に一役買っている。(斎藤 香)


■映画「サイドウェイ」におけるシャトー・シュヴァル・ブラン1961
<以下ネタバレあり、注意>

主人公はバツイチで、ちょっと極端なワインおたくです。
ピノ・ノワールの信奉者で、カベルネ系とメルローが嫌い。

「カベルネ・フランから偉大なワインは生まれない」だの、メルローにいたっては、「メルロー種は大嫌いだ、死んでも飲まないぞ!」とまで言う始末。

でも彼の大事なワインは、シャトー・シュヴァル・ブランなんですね。
ワイン好きな人は、「あれっ?」と思うのではないでしょうか。

ご存知の通り、シャトー・シュヴァル・ブランはボルドー、サンテミリオンの最高峰ワイン。
シャトー・オーゾンヌと共に、不動のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAですね。

そのシャトー・シュヴァル・ブランのセパージュは、カベルネ・フランと、メルローで、特にカベルネ・フランが多い、独特なセパージュです。

そう、彼の嫌いなカベルネ・フランとメルローのセパージュ。

なぜ彼のきらいなセパージュのワインが彼にとって大事なワインなのか?
そこに、この映画のメッセージが込められているような気がして、ワイン目線で、あれこれ考えてみました。

主人公は、しがない英語教師。
作家デビューを夢見て、自分の書いた小説を出版社に売り込んでます。

でもなかなかうまくいかず、自分に自信が持てず、落ち込む日が続きます。
さらに結婚生活に失敗してバツイチ。
しかも、分かれたカミさんには新しい恋人が・・・ショック!

そんな主人公が、同じくワイン好きな飲み仲間の女性(彼が好意を寄せている)に、ピノ・ノアールが好きな理由を問われて答えます。

ピノ・ノワールは栽培が難しいブドウ。
どこでも育つ、カベルネとは違う。
その可能性を信じて、世話をしないと、ピノ・ノワールは育たない。
と、彼は彼女に伝えます。

シャトー・シュヴァル・ブランは、分かれたカミさんとの結婚10周年を祝うために用意したワインでした。
分かれたあとも未練があり、10周年を祝いたい、という気持ちで大事にとってあったワインです。

でも彼は友人の結婚式で、分かれたカミさんに会い、もう復縁できない決定的な事実を聞いてしまうんですね・・・(泣)

それを聞いた失意の彼は、シャトー・シュヴァル・ブランをハンバーガーショップにこっそり持ち込みます。
そして、ハンバーガーと一緒に、発泡スチロールのカップで飲んでしまいます。
美味しくないぞ、発泡スチロールのカップじゃ・・・

彼の嫌いなセパージュで出来た、彼にとって大事なワイン。
それをそんな形で飲み干す事で、過去のしがらみを捨て去ったのでしょうね、きっと。

そして自宅に戻った彼は、留守電にメッセージが入っている事に気が付きます。
それは、ワイン好きな飲み仲間の女性(彼が好意を寄せている)からでした。

彼の才能を信じている、という彼女からのメッセージ。

それを聞いた彼は、車に飛び乗り、高速道路をひた走り、そして、彼女の家のドアをノックします。
それがこの映画のラストシーン。
その後の事は観た人に委ねられています。

主人公は可能性を秘めていて、栽培の難しいピノ・ノワール。
そして彼女は、その可能性を信じている、醸造家。

おいしいピノ・ノワールの、余韻のような終わり方ですね。

笑える箇所も多く、男同士のおバカな友情も楽しく。
ワイン好きな人は見て損のない映画だと思います。

注:途中エッチなシーンもあるので、一緒に見る人には気をつけてね
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