2018/03/02
2018年ソムリエ協会例会セミナー「テイスティングのコツ」
ひさしぶりにソムリエ協会例会セミナーに出席してきました。
実践的な内容で、明日からでも使えるようなテクニックやコメントのノウハウ、さらに8種類の美味しいワインが飲めて、とても充実したセミナーでした!
■セミナー概要
開催日:2018年2月27日(火)14:00~16:00
会場:横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ 5F宴会場「 日輪」
講師:森 覚 ソムリエ協会常務理事
定員:280名(満席)
テーマ:「テイスティングのコツ」
テイスティングは感覚的に表現するに留まってしまうと、かえって理解から遠ざかってしまいます。この色合いは、このフルーツの香りは、この酸味のタイプは、アフターフレーバーは、テイスティングにより感じられた特徴を分析、判断、理解へと繋げてゆく、論理的なテイスティングは、品揃え、サービス、ペアリング、楽しみ方へと広げてゆくことができます。
■森 覚(もり・さとる)ソムリエ
今回のセミナーの講師、森覚氏は第15回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクールの日本代表で出場、8位に入賞された方なので、業界では超有名人ですね。
<プロフィール>
http://www.conradtokyo.co.jp/news/detail/2749
しゃべりも面白くて、2時間あっという間で、とても良いセミナーでした。
■セミナーの構成
通常だと最初の1時間を講義、後半の1時間がテイスティング、ということが多いのですが、今回は8種類ブラインドでテイスティングするということで、もう最初からワインが注がれて、テイスティング開始です。
2杯を比較してテイスティングするという方法で、白ワインが2セット、赤ワインが2セットの、合計8種類。
全部飲んじゃうと酔っ払っうので、紙コップに吐き出すようにしないといけないのですが・・・美味しいとついつい飲んじゃうんですよね。
写真撮影および録音は、自分の勉強のためであればOKと、以前とくらべると大分寛容になってきました。
SNS等への投稿もOKですが、全国で同じワインでのセミナーを行うので、ワインのネタバラシはやめてくれとのことでした。
というわけで、今回はテイスティングのテクニックに関する内容だけまとめてみます。
■テイスティングの目的
目的をもってやらないと、ただ感想を述べるだけの飲み会になってしまう。
・分析し活用につなげる
・感覚を磨き、それを表現する力を身につける
※ちゃんと言葉にして表現できないとダメってことですね。
・欠点を探すのではなく長所を見つける
・主観(あくまで自分の感性)でコメントする
・先入観をもたない
※これ重要ですよね
■テイスティングのフォームをつくる
必ず自分の「フォーム」を作る。
「フォーム」とはコメントの順番や、判断の基点や軸などで、どんなワインがきても崩れないようにすることが重要。
とても甘いワインや、酸化しているワインなど、一部にすごく特徴のあるワインが来ても、外観→香り→味わい→アフターなどの順番は崩さないようにする。
■外観
森氏が推奨していたのは、ほぼ呼称資格試験の項目と同じ感じです。
・清澄度
・輝き
・色調
・濃淡
・ディスク、粘性
・泡立ち
■清澄について
意図して澱を残すなどしたワインは濁っている場合があるが、基本的にはクリアなワインが多い。
クリアなほど、醸造テクニックがしっかりしている証拠。
やはりワインは済んで輝きがあってキラキラしている方が良いと思う、という森ソムリエの意見でした。
■ワインの濃さの話
寒い地域は色づきが弱く、南の方は濃いというコメントは良く聞くけど、単純に南北で濃さが決まるわけではない。
樽の使用により色が濃くなったり、熟成により色が濃くなるケースがある。
甲州は香りを引き出すために色づきを犠牲にしている場合があるそうです。
■ルビーVSガーネット問題
根深い問題で、人により意見が違う。
(たしかにこれはテイスティングコメントの際の悩みどころでした)
意見が別れる事が多かったので、最近は「ダークチェリーレッド」「ラズベリーレッド」も選べるようになった。
でもこれも、どちらに分類するかは人によって意見が別れる可能性は消えていない。
■ロゼの色
ロゼの色を表現出来る人は少ない。
以下のような言い方がある。
ペタルドローズ
ラズベリーピンク
ピンクトパーズ、ピンクサファイア
サーモンピンク
オニオンスキン
アンバー、トパーズ
※どんな色かは調べてください
■香りを嗅ぐときのポイント
第1アロマ、第2アロマ、第3アロマの順番でコメントする。
樽香の印象が強くても最初に「樽」って言ってはダメ。
第1アロマ ブドウの品種の個性=フルーツ、スパイス、ハーブ、花、ミネラルなど。
第2アロマ 醗酵、製法に由来する香り。
第3アロマ 熟成に由来する香り。
第2アロマと第3アロマは共存しない。
最初はグラスを回さないで、第1アロマをとる。
そのときに香りが立たず、グラスを回して香りが立つ場合は還元状態である。
グラスを回しても香りが立たない場合は、閉じているという。
フルーツは「柑橘系・白系」「黄色系」「トロピカルフルーツ」の3つに大分類される。
3つが一緒に香りことはない。
白から黄色系、黄色系からトロピカルフルーツなどの範囲までで、白からトロピカルフルーツという組み合わせは無い。
(よくコメントでやってました、今後気をつけよう・・・)
■還元香
テニスボールの缶を開けたときのような、水道のホースのような香り。
■フローラル
黒っぽい色のワインは「スミレ」
若くて赤い色のワインは「バラ」のケースが多い
(これは逆かと思ってました・・・)
■酸味の話
「ph」※古い世代は「ペーハー」と読んでいたが、最近では「ピーエイチ」と言うらしい。
phが低いと酸が強い。
暖かいとブドウ自体がリンゴ酸を消費してしまうので、酸味が弱くなる、その場合MLF(マロラクティック発酵)はしない場合が多い。
寒い地域はリンゴ酸が多く残るので、MLFを行う。
その両方をブレンドして深みを出すような作り方もニューワールドでは進んでいる。
■甘みの話
「残糖の甘み」「果実味からくる甘み」「アルコールからくる甘み」の3つを分けて捉える。
「残糖の甘み」はシュガーの甘み、「アルコールからくる甘み」はラムやウォッカのような、強いアルコールで舌が麻痺することで感じる甘み。
■シンプルな料理とは
手間暇がかからない料理がシンプルといえる。
お刺身やカルパッチョ、素材を活かしたような料理。
手間暇かかるのは煮込んだり、ソースを作るようなもの。
シンプルなワインにはシンプルな料理、ボリュームのあるワインには手間暇かけた料理を合わせる。
■グラスサイズの選び方
私は、安いワイン=小さいグラス、良いワイン=大きいグラス、と簡単に考えていましたが、温度やアルコール度の強さも関係するそうです。
冷やして美味しいワインは小さいグラスで、少なく注いで、温度が上がらないうちに飲み終わるようにする。
アルコールの香りが強いものは大きなグラスで、鼻を遠ざけてアルコール香を下げる意味がある。
■樽のサイズ
最近は500リットルの「パンチョン」という樽のサイズがはやっている。
樽の影響は少なくてすむ。
■アメリカンオーク
ヴァニラにココナッツの印象がある。
■樽醗酵と樽熟成
樽醗酵→樽熟成よりも、ステンレス醗酵→樽熟成の方が樽の印象が残りやすい。
ステンレス醗酵の方がピュアなすっぴんな状態なので、樽の印象が残る。
樽醗酵は下地ができているので、樽熟成の時にそれほど香りが移らない。
■まとめ
日頃は自分なりでテイスティングしているので、ときどきこういうセミナーに出席して、コメントのブレなどを修正していく必要がありますね。
今年はなるべく多くのセミナーに出席したいと思います。
→過去のセミナー試飲会レポートはこちら
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